『かーわって』

園庭から、可愛い声が聞こえます。
「かーわって」「かーわって」「かーわって」と。何を替わって欲しいのかといいますと、ブランコの順番なのです。

「かーわって」「かーわって」と言い続けていると、ブランコに乗っている子がこぐのをやめ、降ります。そうすると「かーわって」と言った子が交代して、こぎ始めます。

幼稚園って何と素晴らしいところでしょう。幼稚園は子どもが初めて出会う社会なのです。
ブランコ遊びで、独り占めしないことを学びます。
また、順番を待つことを学びます。さらに、相手の気持ちを考えたソフトな自己主張の在り方を学びます。
遊びの中で社会性を学んでいくから、幼稚園は素晴らしいのです。

また、幼稚園のブランコは、二連と四連とに分かれていることが素晴らしいのです。
どのような素晴らしさかといいますと、二連は年少さん専用のブランコなのです。
つまり、小さい子だけは、外枠も四連とは別にあって、区別が付きやすいのです。
そして四連の分は、東側、つまり年少側が年中さん用、最も西側が年長さん用と、二人分ずつの決まりがあるのです。ですから、「かーわって」「かーわって」という場所の移動もしなくてよいのです。そのように良く考えられた仕組みがあるにもかかわらず、空いていたら、どのブランコでも、こぐことができると思う子どももいるのです。

でも安心してください。「ルールは守ろう」と正義の使者がすぐに現れます。
「そこは違う」と厳しく指摘したり、取り上げたりする子どもがいます。また、優しく教え諭す子どももいます。
色々な応対の仕方があるので、人との接し方を学んでいくのです。
遊具での喧嘩は滅多に見ません。

ロバート・フルガム氏は幼稚園の良さを、次のように言っています。

人間どう生きるか、どのようにふるまい、どのような気持ちで、日々を送ればいいか。
本当に知っていなくてはならないことを、わたしは、全部残らず幼稚園で教わった。
何でもみんなで分け合うこと。
ずるをしないこと。人をぶたないこと。
使ったものはかならずもとのところに戻すこと。
ちらかしたら自分で後片付けをすること。
人のものに手を出さないこと。

そして、誰かを傷つけたら、ごめんなさいと言うことを。